原点は、
父の誕生日にある
お客様に教わるより前に、僕は一度、そのことを家族の側から受け取っていました。子どもの頃、父の誕生日は、いつも特別な日でした。それが父の会社からの贈りものだったと知ったのは、ずっとあとのことです。その記憶を、60秒の映像にしました。
Music: “Childhood” by Scott Buckley(CC BY 4.0)www.scottbuckley.com.au
制度を見れば、
想いが分かる
2005年から、法人向けの金融と保険の仕事を続けてきました。生命保険会社で団体保険の制度設計に携わっていた頃、契約の前に必ず伺っていたのは、保険の話ではありませんでした。その会社が何を大切にしてきたか。どんな歴史があり、どんな年齢の人が働き、どれくらいの人が辞めていくのか。
その中で、忘れられない場面があります。「社員のことは、正直どうでもいい」。そう口にされた経営者が、一人ではなく、何人かいらっしゃいました。そして、その方々の会社には、退職金の制度がありませんでした。
責めたいのではありません。経営には優先順位があり、使えるお金には限りがあります。ただ、その重なりを知ったとき、腹に落ちるものがありました。会社は、大切だと思っていないものにお金を使わない。裏を返せば、社員を大切に想う会社は、その想いがどこかに形として表れている。
制度は商品ではなく、
会社が社員をどう想っているかの表れなのだと。
その答えを聞いてから、はじめて制度の形が決まる。逆に言えば、答えを聞かずに決めた制度は、書類の上には存在しても、社員の実感にはならない。そのことを、当時のお客様に教わりました。
本当にいいものは、
世に出にくい
その後、保険会社で商品をつくる部門、別の保険会社の本社で代理店を支える部門、そして大手代理店の経営とマーケティングを経験しました。つくる側と、売る側。その裏と表を、どちらも内側から見てきたことになります。
そこで、ずっと消えなかった違和感があります。お客様に届く言葉——サイトの文章、電話の応対、資料、アンケート、そのための仕組み——をつくっているのは、お客様と直接向き合う機会の少ない人たちでした。現場の声は本社に届きにくく、届いたとしても、別の言葉に置き換わってから制作会社に渡る。制度の良さを身をもって知っている人は、その流れのどこにもいない。だから、どこか嘘っぽく見える。みんな一生懸命でした。ただ、「売るため」の言葉ばかりで、本当のことが書かれていることは、本当に少ない。
もう一つ、両側を見て分かったことがあります。本当に素晴らしい制度ほど、世に出にくい。つくる側には、手間がかかるのに利益が薄い。売る側には、学ぶことが多いのに手数料が少ない。良いものが、構造の都合で埋もれていく。
ある税理士の先生が、笑いながら「保険には、色々痛い目に遭いましたから」と仰ったことがあります。売る側の一員として、胸が痛みました。でも、その先生が出会わなかっただけで、本当に良いものは、確かにあります。
だから独立し、収益を保険だけに頼らない形を選びました。制度の設計も、社員への教育も、採用の発信も、ひとつの仕事として引き受ける。そうすることで、埋もれがちな良い制度を、良いまま、お客様に届けることができる。それが、Wanoviaの成り立ちです。
商品は、
手段にすぎない
退職金も、保障も、401Kも、商品はすべて手段です。その手段で実現したいのは、社員と家族の暮らしが、経済的に安心であること。その安心が積み重なって、会社への信頼になります。信頼は、社外にも伝わる。「この会社は、人をこう大切にしている」と胸を張って言える土台——それが制度です。
採用も定着も、その結果として生まれてくるものだと考えています。だからWanoviaは、保険や制度を売る会社ではなく、採用・定着の文化設計を看板にしました。経営者の想いが、社員に届くまでを設計する会社でありたいからです。
社員の向こうには、家族があり、生活があります。制度は、その人が会社にいる間だけでなく、いなくなったあとも、家族の暮らしに関わります。そこまで見て設計されているかどうかは、パンフレットには書いてありません。だから、商品から考えません。導入しないことが正解なら、そう言います。
